裸の王様その後

王様は裸で得意げに歩いていたことを子供に指摘され、大恥をかきました。

しばらく部屋に籠って人目を避けた生活を余儀なくされていました。

生まれて初めての屈辱に夜も眠れず、自分の気持ちを落ち着かせることに精一杯でした。

かなりの期間誰とも会わなかったので政務が滞り、困ってしまった側近たちが王様部に部屋から出てもらおうと提案しました。

「この国で一番尊貴な王に恥をかかせたあの子供は死罪にしてはどうですか?」

なるほどその通り。この国で一番偉い私に恥をかかせたのだから当然の報いだと思い、改めて側近を呼ぼうと呼び鈴をとりあげて正に鳴らす瞬間でした。

「あの子供を殺すのは簡単だ。しかし罪状は何だ?」

あの子供は嘘を言っていません。本当のことを言って死罪にすることができるのか?

はたと考え込んだ王様は法務大臣を呼びました。

王様は法務大臣に言いました。

「あの子供を死刑にしようと思う。どう思うか」

法務大臣は言いました。

「それがようございます。王に恥をかかせた罪は重罪です。罪状は何でもそれらしいもので取り繕えばどうにでもなります。」

王様はその言葉に違和感を感じた。

「本当のことを言って罪になるとは何だ?私が何も着ていない事実を言った者が殺されて、何も言わなかったものが罪に問われないということは何なのだ?恥をかかせたのは一体誰なのだ?」

「何が起こったかは関係ありません。王の機嫌を損ねた。それが罪であります。」

しばらく考え込んだ王様は、改めて側近を呼んで子供を呼び寄せた。

呼び寄せた子供に王様は言いました。

「お前は学もなく保身の才能も無い。これからも私に何が起こったか事実を伝えてくれ。」

その後王様は後世に残る善政を敷きました。

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