介護の現場を勇気づける働き方改革

介護と言えば3K(きつい・汚い・暗い)という評判が定着しています。

実際に介護の現場で働いてきた実感でも、その通りだと思います。

21時間勤務もやっていましたし、そんな中でも注意深く仕事をしなければいけません。

それは人が出来る仕事ですか?と自問自答しながら働いていました。

何回か転職しましたが、どこでも状況は一緒でした。みんな見て見ぬふりをしてその日をやり過ごすことを考えて働き、理想に燃えて入ってきた職員も現実と人間関係ですりつぶされて辞めていきました。

大抵の職員は口をそろえて言います。「長生きはしたくない」

しかし職員の為に擁護しますが、みんなそんな毎日を送りたくて送っているわけではありません。

ほとんどの職員は人が好きで施設で働いています。

現場は一生懸命やっています。しかし働けば働くほど希望を失ってしまいます。

何がそうさせているのでしょうか?

みんな自分を隠すのに精いっぱい

介護は感情労働と言われています。感情労働とは相手(=顧客)の精神を特別な状態に導くために、自分の感情を誘発または抑圧することを職務とする、精神と感情の協調が必要な仕事の事です。

感情労働は肉体労働と同じように多くのエネルギーを使います。

勤務中ずっとお客様と接していなければいけない上に、人間関係でも上手くこなしていかないといけません。

さらに人手不足の中で業務も回さないといけないので、もう職員はへとへとです。

その上で自分が良かれと思ってした行動が、お客様や同僚、上司から責め立てられると、キャパオーバーになってしまいます。

いわゆる「切れる」状態になるわけです。かくして無気力職員の出来上がりです。

そうすると、なるべく何もせず、指示されたことだけをして、自分の感情を抑圧してやりすごすようになってしまいます。

就業時間中の関心は、いかに目立たないようにするかのみで、お客様への関心を持てないようになってしまいます。

他の分野より給料が安い介護でわざわざ抑圧されながら働きたいですか?

介護職員が辞める一番の理由は人間関係と言われますが、自分の働いてきた実感としては上記の理由が一番多いと感じています。

職員の気持ちを開放させれば良い方向に向かう

今の日本では贅沢言わなければ、どこだって働けます。

なぜ3Kという評判が定着している介護で働こうと思うのでしょうか?

基本的には介護で働こうとするのは、人が好きな方が多いと思います。

人が人を支えるのが介護の理念だと思っていますが、入ってくる人はそういう理想を持って入ってくる方が多いと感じています。

しかし現状として、機械的に介護をするようになっていて、そうはなっていないのです。

それならば私はシステムの方がおかしいのではないかと思います。

介護としての型にはめるのが、そんなに大事なのでしょうか?

お客様は一人一人違うというのに、職員は一人一人違ってはいけないのでしょうか?

そんなに基準が大事ならペッパー君を雇った方がよっぽど良いと思います。

「それが仕事だ」と強制すると一見寄り添えている風になります。

しかし気持ちが入っていない空っぽの寄り添いでお客様の心は満たされません。

その場合その職員の関心はお客様でなく、上司の目になるからです。

お客様に心のこもったサービスを提供したいのであれば、まず職員の気持ちに寄り添って職員を尊重しましょう。

職員は尊重されている事を実感できれば、自然とお客様に対しても尊重します。

「人は扱われているように人を扱う」のです

CS=ES

CS(customer Satisfaction)は一般に通用しますが、ES(Employ Satisfaction)はまだあまり知られていません。

ESと聞くと福利厚生などのハード面をイメージする方も多いと思いますが、従業員の心理的安全性など個人的なケアまで含まれます。

考えてみれば当たり前のことで、お客様の対応をするのは現場の職員や従業員です。

その職員が「めんどくせー」と思って、お客様の対応を片手間にすれば顧客満足度が下がるのは当たり前です。

例えばリッツカールトンのコレドと呼ばれる従業員指針では「お客様は紳士・淑女です。それをおもてなしする我々も紳士・淑女です。」

と書かれています。

人が人を大切にするのです。もっと言えば目の前の人を喜ばせたいという気持ちが、人を喜ばせるのです。

お客様への対応に正解はありません。一人一人違った対応があるはずです。

職員を大事に扱う事がその施設の評判を上げる事になると思います。

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