姿勢の違い

あるところに二人の人がいた。
その二人には際立って違う所はなかったが、
一人は猫背で俯き加減に歩き、もう一人は背筋を伸ばして顔を上げて歩く特徴があった。

その二人がスタートラインから同時に歩き出した。
俯いて歩く人は自分の足元をみて一歩一歩確実に歩いて行った。
ただ、無意識に自分の歩きやすいように歩いていたため、さまようようにウロウロと歩いて迷いながらスタートラインに戻ってきてしまった。

その人は驚いたが、自分の歩き方に自信を持っていたため、相変わらず下を向いて一歩一歩確実に歩いて行った。
やっぱり無意識に歩きやすいように歩いていたため、自分の歩いた道をまた辿ってスタートラインに戻ってきた。

歩けば歩くほど自分の通ってきた道は歩きやすくなったために、その人は自分で作った道をひたすらなぞって歩いていた。

もう一人の背筋を伸ばして歩く人は遠くが見えた。
どこに行きたいか見渡すと、遠くに虹に包まれたオアシスを見つけた。
そこに向けて歩き始めたが足元を見なかったため、度々つまづいて転んでいた。

傷だらけになってやっとオアシスにたどり着いたが、オアシスは蜃気楼でそこには何も無かった。
ただ、また遠くを見渡すと虹に包まれたオアシスを見つけた。

また傷だらけになりながら歩き始めていた。

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